ご案内:このページ「ホタルについて」は、ウェブサイト「 mtblue.org 」の中のページの一つです。サイト内のページを少しでも効率よく参照していただけるよう、次の機能を提供しています。ご利用ください。
また、トップページからこのページまでのアクセスの経路を示す情報を提供しています。この情報は、ページの先頭付近と終端付近で合計二度提供されていますので、この情報が二度目に出現した箇所を、ページの終端と捉えていただくことができます。一度目の出現はこのご案内の直後です。すなわち、次のような形式で提供しています。以上で、ご案内を終わります。
我が国では、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルなど十数種類(国語大辞典)が知られている。ここでは、そのなかでも特によく知られている、ゲンジボタルとヘイケボタルを取りあげる。
本州から四国、九州に分布する大型のホタルで、体長は、メスで20mm、オスで15mmほどになる。胸部は赤く、黒い十文字型の模様がある。
ゲンジボタルは6月半ば頃までにサナギから成虫になる。成虫の寿命は1週間から2週間程度で、この間に繁殖する。幼虫は水棲の貝を食べ(後述)、「大食漢」と表現されることもあるが、成虫になると、わずかな水しか摂取しない。
交尾後5日ほど経ったメスは、6月末から7月の初旬頃までに、水辺のコケなどの水分を常に含んでいる場所に産卵する。卵を乾燥から守るためである。産卵する水辺は、幼虫の餌となるカワニナという巻き貝が棲息することが条件となる。カワニナは澄んだ流れのある水辺を好み、主にケイソウを食べる。近年のホタルの減少の大きな原因のひとつに、カワニナの住める水域の減少が挙げられる。ゲンジボタルのメスの1回の産卵数は約500〜1000個程度で、産卵後2〜3日で死んでしまう。オスは、交尾後しばらくすると死んでしまう。
卵の直径は約0.5mmで丸型。産卵後3週間ほどすると、初め半透明だった卵は徐々に透明になり、中の幼虫が確認できるようになる。7月下旬、すなわち孵化直前の幼虫の体長は、約1.5mm。なお、極めて弱い光ではあるが、卵も発光する。
孵化した幼虫は、すぐに水中に入る。夜行性であり、昼間は石の下などの安全な場所でじっとしている。夜になると活動を始め、カワニナを食べる。ホタルの幼虫の行動は、専ら食べることである。
幼虫は自分の体に見合った大きさのカワニナを見つけると、カワニナの体に噛み付き、消化液を流し込んで溶かしながら食べるとされる。幼虫は随分不気味な容貌をしているが、カワニナ以外の貝を餌とすることはできない、繊細な嗜好の持ち主でもある。
孵化後1ヶ月ほどすると、最初の脱皮をする。ゲンジボタルの幼虫は4〜6回の脱皮をし、孵化直後に1.5mm 程度しかなかった体長も、越冬期までには1cmを超える。ホタルは幼虫の状態で冬を迎え、この間もカワニナを食べて栄養を蓄える。
春を迎え4月頃になると、体長は3cmにも達し、餌をほとんど捕らなくなる。4月の中旬から下旬の雨の夜、幼虫はサナギになるために上陸を始める。柔らかな湿った土の中にもぐっていき、口から分泌される体液で土を固め、小部屋(蛹室)を形成する。すぐにサナギになるわけではなく、1ヶ月から2ヶ月弱は幼虫の状態のまま地中で過ごし、その後、サナギへと脱皮する。
サナギは腹部先端の発光器も大きくなっており、かなり明るく発光する。この状態で2週間ほど過ごす。
サナギになって約2週間経つと、いよいよ羽化をする。サナギの背中から成虫が出てくる。羽化直後は全身がしっかりと固まっていないため、成虫は3日間ほど地中で過ごし、羽が固まって飛べるようになったら、体を器用に使って地中から這い出る。
地上に出た成虫は、死ぬまでの2週間足らずの間に交尾相手を見つけ、繁殖する。メスは水辺の葉にとまって光り、オスはそれを探すために飛びながら発光する。飛び方は曲線的なのが特徴。発光は1〜2秒間隔で、徐々に明るくなる光り方をする。また、オス、メスともに腹部に発光器をもつが、オスは6節のうち第5、6節が、メスは7節のうち第5節が発光する。このため、体は小さくても発光器の面積が広いオスの方が明るく光る。
日本全土と中国東部に分布する小型のホタルで、体長は、メスで10mm、オスで7mmほどになる。胸部は赤く、黒く太い縦一文字型の模様がある。「コメボタル」「ヌカボタル」の俗称がある。コメツキムシに似ているからだろうか。
ヘイケボタルは6月〜8月頃までにサナギから成虫になり、成虫を見られる時期はゲンジボタルよりも遅く、期間は長い。成虫の寿命は1週間から2週間程度で、この間に繁殖する。幼虫は水棲の貝を食べ(後述)、「大食漢」と表現されることもあるが、成虫になると、わずかな水しか摂取しない。
交尾後のメスは、6月末から8月の初旬頃までに、水辺のコケなどの水分を常に含んでいる場所に産卵する。卵を乾燥から守るためである。産卵する水辺は、幼虫の餌となるモノアラガイ、サカマキガイ、タニシなどの巻き貝が棲息することが条件となる。これらの巻き貝は、水の流れのない場所を好み、水質の汚濁に対してもカワニナほど敏感ではない。そのため、ゲンジボタルよりもヘイケボタルの方がより広い地域、環境でも見ることができる。1回の産卵数は約50〜100個程度で、産卵後2〜3日で死んでしまう。オスは、交尾後しばらくすると死んでしまう。
卵の直径は約0.6mmで楕円形。産卵後1ヶ月ほどすると、初め半透明だった卵は徐々に透明になり、中の幼虫が確認できるようになる。8月上旬、すなわち孵化直前の幼虫の体長は、約1.5mm。
孵化した幼虫は、すぐに水中に入る。夜行性であり、昼間は石の下などの安全な場所でじっとしている。夜になると活動を始め、餌となる巻き貝を食べる。オタマジャクシを捕食していたという報告もあり、ヘイケボタルの幼虫の食性はかなり広いと考えられている。
孵化後1ヶ月ほどすると、最初の脱皮をする。ヘイケボタルの幼虫は4回の脱皮をし、孵化直後に1.5mm 程度しかなかった体長も、越冬期までには1cmを超える。ホタルは幼虫の状態で冬を迎え、この間も巻き貝を食べて栄養を蓄える。
春を迎え4月頃になると、体長は2.5cmにも達し、餌をほとんど捕らなくなる。5月から7月の雨の夜、幼虫はサナギになるために上陸を始める。柔らかな湿った土の中にもぐっていき、口から分泌される体液で土を固め、小部屋(蛹室)を形成する。すぐにサナギになるわけではなく、1ヶ月ほど幼虫の状態のまま地中で過ごし、その後、サナギへと脱皮する。
サナギは腹部先端の発光器も大きくなっており、かなり明るく発光する。この状態で2週間ほど過ごす。
サナギになって約2週間経つと、いよいよ羽化をする。サナギの背中から成虫が出てくる。羽化直後は全身がしっかりと固まっていないため、成虫は3日間ほど地中で過ごし、羽が固まって飛べるようになったら、体を器用に使って地中から這い出る。
地上に出た成虫は、死ぬまでの2週間足らずの間に交尾相手を見つけ、繁殖する。メスは水辺の葉にとまって光り、オスはそれを探すために飛びながら発光する。飛び方は直線的なのが特徴。発光は約1秒間隔で、ストロボのような光り方をする。また、オス、メスともに腹部に発光器をもつが、オスは6節のうち第5、6節が、メスは7節のうち第5節が発光する。このため、体は小さくても発光器の面積が広いオスの方が明るく光る。
ホタルの繁殖になくてはならない存在が、幼虫期の餌となるカワニナである。特にゲンジボタルは、カワニナ以外の貝を食べないため、カワニナの住まない環境では繁殖できない。ホタルの住める環境を守る、復元するためには、まずカワニナが住める環境を整えることが、極めて重要となる。
カワニナは、緩やかな流れのある澄んだ水域を好み、水質の変化に敏感である。水中の石に付着したケイソウという植物プランクトンを食べる。水温が20℃以上になる初夏から秋口にかけて繁殖する。母貝は、一日につき1mmほどの小貝を、10〜20個産む。
カワニナの餌となるケイソウは、水質に対する順応性がかなり強く、むしろ生物の糞や死骸などのある、富栄養化した水質で大量発生する。ただし、水質がアルカリ性に傾いたり、塩分が加わったりすると、あっという間に死滅する。
ホタルの出す光は独特の黄緑色で、熱をほとんど発生しないことから「冷光」とも呼ばれる、極めてエネルギー変換効率の高い発光である。これは、体内のATPと、ルシフェリン(luciferin)という物質が、ルシフェラーゼ(luciferase)という酵素を触媒とする酸化還元反応を起こす際に光を発するためである。
ホタルの発光では、ATPから取り出されるエネルギーの、実に約98%が光に変換される(残りの2%が熱になる)。我々が日常使っている光源のエネルギー/光変換効率は、白熱電球ではわずか5〜10%程度、蛍光灯でも20〜40%であることを考えると、驚異的な効率であることが分かる。
luciferin、luciferaseはともに"Lucifer"に由来。語源はラテン語の"lux(光)"+"ferre(運ぶもの)"=「光をもたらすもの」。"lucifer"に化学物質名を示す接尾辞"-in"がついたものが"luciferin"、酵素を示す接尾辞"-ase"がついたものが"luciferase"である。なお、"lux"は現在でも照度の単位として用いられている。
この反応を人工的に起こすことができれば、さまざまな可能性が開けてくるため、長い間研究が続けられてきた。ATPとルシフェリンは化学的に大量生産が可能だが、酵素のルシフェラーゼだけは、ホタルなどの発光生物のみが体内にもつ物質であるため、このルシフェラーゼの生産が鍵となっていた。
ルシフェラーゼの大量生産に世界で初めて成功したのは、日本のキッコーマンで、1988年のことだった。ゲンジボタルのルシフェラーゼ生産遺伝子を、大腸菌に組み込んで大量に増殖させることが可能となった。キッコーマンのニュースリリースによると、1gのルシフェラーゼを従来の方法で抽出するには、約10万匹のホタルが必要だったとのことだ。
この記事を書くにあたって参考にしたサイト(検索エンジンに直接ヒットしたもののみ。さらにリンクをたどったものは量が多くなるので割愛する。)を以下に紹介する。このような有用な情報を提供してくださっているサイト関係者の方々に、深く感謝する。
公共機関のウェブサイトで、多数ホタルを扱ったコンテンツがあることに驚いた。それだけ環境問題が深刻になっているということも、素直に受け止めなければならない。観光客気分だけでいてはならないと痛感した。